現代は「ブランド」が飽和状態に

2011-05-17

現代は「ブランド」が飽和状態になった時代だ。この時代の気分を反映するように登場したのが、ブランド品の壮絶な衝動買いをテーマにしたエッセイを売り物とする、自称「無駄遣いエッセイスト」中村うさぎだ(彼女の連載「ショッピングの女王」は1998年以来、「週刊文春」の名物コーナーのひとつである)。エルメスを「阿修羅のごとく」購入したという中村は自ら認めるように「買い物依存症」なのであり、もっぱらこうした製品の使用価値よりも購入するときの快感を強調するのだ。そして、商品の購入という行為そのものに重きをおいた消費行動は、彼女に限ったことではなく、現代を特徴づける消費行為の一潮流となっている。甘糟も流行に対して、そこには「凄まじい消費への欲求があるだけ」なのだという。「物欲とは違う。物そのものが欲しいのではなく、いち早く時代を使いきってしまいたいという欲求が自分の中に渦巻いている。ほとんど肉体的な欲望に近い感じがする」と語る(『贅沢は敵か』)。