刑務所は風呂に入る回数も少ないので今の間にチャンギ号でシャワーをあびておけと教えてくれた。そんなことがあってなるものかと思い風呂にも入らず、しかしオドオドしながら横にいる軍艦をみつめる。車艦には高級士官の家族も乗っている。この時軍艦が千トンであることを知る。米軍の中古軍艦である。チャンギ号の周辺には同じように拿捕された台湾の二隻引トロール船が数隻錨をおろしている。おそらくイラワジ河沖合のフェダイを求め、アマンダン海に来て、領海内で操業したのであろう。捕われの衆は人間にかぎらず船の姿もあわれである。十時ごろにビルマの民族服や制服をつけた警官、移民局役人、税関役人そして陸海車の高官が取り調べのため乗船してきた。船長に対して様々の質問をし、各個人の部屋が徹底的にサーチされる。